亡くなった母との想い出
僕が中学2年生のときに母が亡くなった。
大腸がんだった。
母は最後まで懸命に生きようとした。
当時効き目がある人はごく僅かだと言われた免疫療法にも多額のお金をかけて挑戦した。
でも残念ながら、母には一定の効果しかなかった。
完治には至らなかった。
そんな母は、がんと発覚した頃から僕にいろいろな言葉を残していってくれた。
「若いのに死んじゃう人は、良い人だからって神様がほしがってるんだよ」
「もしお母さんが死んでも、あなたの子供になってまた生まれてくるから」
ガンとわかってから母は死ぬのを覚悟していたのだと思う。
闘病生活が始まってからは、毎日のようにお見舞いに行った。
病室で当時中2だった僕に母がこう言ってきた。
「一緒にお昼寝しない?」
遺書に寝るなんて小学校低学年ぶりだし、中学2年にもなって母と寝るのなんて恥ずかしいと断ったが、母は続けてこう言った。
「いつか絶対後悔するよ〜?」
そのあと、病室の小さいベッドで母と一緒に2,3時間昼寝した。
僕は布団に入ってすぐ眠ってしまったが、母はきっと寝ないでいただろうと思う。
本当にこの時一緒に昼寝しておいて良かったとつくづく思う。
そらから母は一時退院するたびに家のあちこちを業者に頼んで、直していった。
玄関の靴箱をつくってみたり、水の出が悪かったシャワーを新しいものに交換してみたり・・・
僕に子供ができたら母を超えるような親になることが目標だ。
母のことは世界で一番尊敬している。